PCエンジン、そしてCD-ROM²の威容を誇示した作品
1989年、当時PCエンジンという新しいプラットフォームの登場も衝撃的でしたが、『天外魔境ZIRIA』は中でもCD-ROM²システムの潜在能力を爆発的に示してくれた記念碑的な作品でした。今でこそ当たり前になった音声サポートも、当時は本当に革新的でしたね。キャラクターたちが直接声を出して会話する場面は、まるで漫画からアニメーションに移行したかのような臨場感を与え、プレイヤーをゲームの世界へと深く引き込んでくれました。特にこのゲームが、スーパーCD-ROM²ではなく、初期のCD-ROM²で実現されたという点は、当時の技術の限界を超えたとてつもない成果だったと言えるでしょう。
東洋ファンタジーの魅力、そして予想外のストーリー
このゲームのストーリーは、江戸時代末期の忍者奇談**『児雷也豪傑譚』をモチーフにしています。サイコパスな新興宗教デムン教が邪神マサカドを復活させようとする中、主人公ZIRIA(児雷也)が火の一族の仲間たちを集めて立ち向かうという内容でした。ストーリーはやや平凡に感じられるかもしれませんが、私にとっては東洋的な色彩が強く感じられる世界観**自体が新鮮な衝撃でした。西洋ファンタジーに慣れていた当時のゲーマーにとって、日本の説話や伝統要素をベースにした背景やキャラクターは、これまでに経験したことのない独特の魅力を与えてくれましたね。なんとデムン教を率いる妖怪の中にはツタンカーメンのような異国の悪魔もいて、これを日本人が倒すという設定は、当時としてはかなり興味深い構図でした。
坂本龍一氏の匠の技が光る名品BGM
『天外魔境ZIRIA』のBGMは、本当に外せない部分です!特に、世界的巨匠である坂本龍一氏が作曲に参加した3曲は、日本の伝統的な雰囲気を活かしながらも、ゲームの雰囲気を一層深くしてくれる名曲揃いでした。このように壮大で美しい音楽は、ゲームプレイ中ずっと耳を楽しませてくれ、今でも多くのゲーマーの記憶に残る名場面を演出する上で大きく貢献しました。
不便ささえも楽しみだったゲームプレイ
正直なところ、もし今このゲームをもう一度プレイするなら、ターン制バトルや反復的なフィールド移動といった要素は、多少不便に感じるかもしれません。しかし、あの頃はそうしたささやかな不便ささえも、ゲームの一部であり楽しみでした。一歩一歩進んで新しい地域を探索し、隠された要素を見つけ出す楽しさ、そして強敵に遭遇した時の緊張感、ついにボスを倒した時の爽快感は、私にとって忘れられない思い出として残っています。
『天外魔境ZIRIA』は、私にとって幼少期の貴重な思い出であり、CD-ROM時代の幕開けを告げた象徴的な作品として深く心に刻まれています。このゲームを通じて、ストーリーの重要性、革新的な音声サポートの力、そして東洋的な美しさがゲームの中でいかに輝けるかを教えてもらいました。